ゲームにおける対戦相手へのリスペクト
柔道女子52キロ級で、オリンピック2連覇と兄妹での金メダルを期待されていた阿部詩を2回戦で破った世界ランキング1位のディヨラ・ケルディヨロワ選手(ウズベキスタン)は、地元フランスの強豪アマンディーヌ・ブシャールを破って初の金メダルに輝きました。
ケルディヨロワは阿部と2023年の世界選手権で対戦し、一本負けを喫している。その時から、コーチと五輪王者を倒すための練習を続けてきたそうです。
ただ、目標としてきた阿部に逆転勝ちした時も、ガッツポーズもせず26歳は表情を全く変えず寡黙で控えめな姿勢でした。
メダリストの記者会見でケルディヨロワはその理由をこう言っています。
「彼女はオリンピックのチャンピオンであり、レジェンドなのでリスペクトしていると詩さんを称えた。国からの大きな期待を背負っている者同士として、私は試合がすべて終わるまで表情を変えたくなかったし、彼女をとてもリスペクトしているから、喜びたくなかったのです」
団体戦においても、1階級上の、しかも銀メダリストを破っています。それは並大抵のことではありません。
ケルディヨロウさんは文字どおり心体技を併せもったレジェンドとなり得る柔道家だと思います。勝ちさえすれば良い今のJUDOではなく、柔道としての模範のような立ち振舞いと圧倒的強さを持つ素晴らしい選手です。
メダリストにふさわしい人間性。心・技・体が揃うとはまさに彼女の事と思います。
先の阿部詩選手との試合以来、日本選手と同レベルでケルディヨロワ選手のファンになりました。 力量、技量、礼節と、どこをとっても一流の柔道家の誕生だと思います。 これから彼女を中心にウズベキスタンの柔道はより一層強くなってくるんじゃないかと。